DTS:Xとは何か?配信フォーマットを技術解説
-DTSが贈るIMAX Enhanced サウンドでDisney+がこう変わる-

2024年4月15日

DTSがホームシアターに素晴らしいサウンドをもたらすのは、今に始まったことではありません。例えば、これまで何年にも渡り、ご家庭のホームシアターでは、お気に入りのBlu-Rayディスクに収録された映画品質のサウンドが楽しまれてきました。しかし近年、家庭で配信されるコンテンツが増えるにつれて、より良いサウンドを楽しみたいという需要も高まっています。

DTS は、配信専用に開発された新しい DTS:X コーデックでこの要求に応えました。 高効率、低帯域幅のコーデックは画期的な技術であり、消費者は自宅で配信コンテンツを視聴する際、テレビから流れる素晴らしい UHD HDR 映像に見合った迫力のある映画サウンドを楽しむことができます。 つまり、DTS:Xによってようやく音が映像に追いついたということです。

消費者はこれまで、サウンドバー、AVアンプ、あるいはテレビなどのオーディオ機器でDTS:Xのロゴを見慣れているかもしれませんが、DTS:Xが配信サービスにおいて、具体的にどんな働きをするのか?という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。ここで、DTSの製品管理ディレクタースヴェン・メヴィセンが、多くの視聴者が抱くであろう疑問点についてお答えします。

配信におけるDTS:X は、これまでの技術と何が違うのか?

スヴェン: 他のサラウンドサウンドの体験と比較して、DTS:Xはまさにその上を行く体験です。従来のサラウンドサウンドは、前方や後方から視聴者に向けて音を出すような2次元の体験を提供します。DTS:Xは、前後方向からに加えて、上から視聴者に向かってくるサウンドを追加することで3次元の音場を実現します。この3Dオーディオテクノロジーは、現実世界さながらのリアリティ溢れるサウンドに近づけることで、より没入感のある体験を創り出します。すべてがシンプルなインターネット接続を介して提供されます。配信用のDTS:Xは、配信を念頭に置いて特別に開発し、家庭での特別なエンターテインメント体験に相応しい高品質なオーディオを提供します。

DTS:Xは、どのような機器で動作しますか?

スヴェン: DTS:Xは、長年に渡り幅広い製品に対応し、素晴らしいサウンドを送り届ける環境を創り出してきました。対象製品には、ほとんどのAVアンプとサウンドバー、ゲーム機、PC、そしてますます数を増やしつつあるテレビが含まれています。DTS:Xを搭載する主要なOEMには、ソニー、ハイセンス、LG、TCL、フィリップス、Vizio、シャープなどがあり、今後さらに多くのパートナーや製品が増える予定です。

重要なポイントとしては、DTS:X が従来のDTS 対応製品との下位互換性があることです。つまり例えば、DTSのみ搭載の古いサウンドバーとDTS:X対応の新しいテレビはどちらも互換があるので、互いに接続することで素晴らしいオーディオをお届けすることができるのです。

さらに、その高品位のオーディオは、さまざまな機器の性能に合わせて機能が拡張されます。AVアンプと複数のスピーカーを備えた本格的なホームシアターを所有しているユーザーは、DTS:Xによる充実したオーディオの良さを十分に楽しむことができます。そして、音はただテレビからのみというユーザーでも、DTS:X互換テレビならDTS Virtual:XなどのDTSが開発したスピーカーのバーチャライズ技術により、さらに没入感のあるパワフルなオーディオ体験を楽しむことができます。

DTS:Xはモバイルでも使用可能ですか?

スヴェン: 映画であれ、テレビ番組であれ、ゲームであれ、優れた映像はホームシアターに限定されません。ではなぜ優れたオーディオは限定されるのでしょう?DTS:Xは違います。DTS Headphone:Xに対応したヘッドフォンまたはモバイル機器は、臨場感のあるバイノーラル体験を生み出し、ユーザーはどこにいてもDTS:Xをフルに楽しむことができるのです。

DTS:XはIMAX Enhancedとどのような関係か?

スヴェン: IMAX Enhancedは、IMAXの拡大アスペクト比と見事な映像を自宅の認証機器で楽しむことができるコンテンツとデバイスのエコシステムです。しかし、劇場で体験できるとてつもなくパワフルなサウンドは、以前は対応していませんでした。DTS:Xは、IMAX Enhancedプログラムで使用される専用のオーディオフォーマットとして、自宅のソファでくつろぎながら見ている視聴者に劇場のようなサウンドを提供しています。

IMAX Enhancedサウンド(DTS:X)はDisney+で提供されていますか?

スヴェン: はい。先日、DTS:XがIMAX Enhanced対応機器でDisney+の視聴ができるようになった旨を正式に発表しました。5月15日に“Queen Rock Montreal”が配信され、DTSのイマーシブサウンドで視聴できる初のコンサートフィルムとして、Disney+に登場します。これに加え、人気の高いマーベルからも18作品のIMAX Enhancedサウンドでの視聴が可能になり、かつてないほどの臨場感で加入者をアクションに没頭させるでしょう。

Disney +において、IMAX EnhancedでDTS:Xサウンドを聴くためには、DTS:X対応テレビが必要です。

なお、DTS:X対応テレビは、ソニー、ハイセンス、シャオミなどの一部のDTS:X対応Android/Google TVからスタートしており、IMAX Enhancedサウンドに対応していきます。DTS:X対応テレビにデノン、マランツ、JBLなどのDTS:X対応AVアンプを接続しても体験をお楽しみいただくことができます。

IMAX Enhancedは、IMAXとDTSが協力して、ホーム環境やその他において最高の忠実度で視聴できるコンテンツを実現し、映画制作者の意図をIMAX品質で最大限に引き出すことを保証します。DTSが提供するDTS:Xは、劇場用コンテンツをフルダイナミックレンジでお届けし、音がリスナーの周りを自由に動き回ることで、より没入感を感じさせます。Disney+は、家での視聴体験を向上させるIMAX Enhancedによる初の大手配信サービスであり、加入者にマーベル・シネマティック・ユニバースなどを新しい視点で再体験できる方法を提供します。

Disney+でIMAX Enhancedの音声の設定をするためにはどうすればよいか?

スヴェン: 対応機器を使用しているDisney+ユーザーは、IMAX Enhanced対応の映画を初めて選択するとオーディオコントロールパネルの通知が出るため、その際に任意でIMAX Enhancedサウンドをオンにすることができます。一度オンを選択すると、IMAX Enhancedサウンドで利用可能なすべてのタイトルが全てIMAX Enhancedサウンドで再生されるようになります。